今月の健康記念日
- 2022/09/29
- 12:00
9月30日は「ク(9)ルミ(3)はまるい(0)」の語呂合わせから、「クルミの日」です。名産地・長野県東御市などのクルミ愛好家たちが、クルミの食材としての素晴らしさ、用途の広さを知ってもらおうと制定しました。
秋はドングリ、トチの実、アーモンド、カシューナッツなど多くのナッツ(木の実)が実る季節です。特にクルミは太古から人類に食され、今も人気の高いナッツ。近年はその栄養素が老化を防ぐことから、健康食としても注目されています。今回は素朴な風味が魅力のナッツ、クルミの歴史や栄養素などを紹介しましょう。
🕊9000年前から人類が親しむクルミ
古代ペルシャが原産地といわれるクルミは、ヨーロッパ南西部からアジア西部にかけた北半球の温帯地域に広く分布するクルミ科クルミ属の落葉樹の総称です。収穫量はアメリカ合衆国のカリフォルニア州や中国が多く、日本では長野県東御(とうみ)市が日本一を誇っています。
クルミが食べられるようになったのは、はるか9000年前の紀元前7000年頃のこと。古代エジプト王の墓からはクルミなどナッツ類が発見されており、日本でも縄文時代前〜中期の三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき:青森市)からクルミの種実の出土例があります。
ちなみに日本で最古のクルミの化石を発見したのは、かの有名な童話作家・宮沢賢治です。大学で農業を専攻した賢治は、卒業後に独学で地質学も学び、学者以上の知識を有していたといわれます。
日本原産のクルミには「オニグルミ」「ヒメグルミ」といった品種があり、オニグルミは殻がゴツゴツして非常に硬いのが特徴です。ヒメグルミは殻が滑らかで割れやすく、断面がハートの形なことからその名が付きました。
一方、海外から渡ってきたクルミには、カシグルミ(江戸時代に中国から)、ペルシャグルミ(明治時代にアメリカから)があります。
🕊クルミが老化を防ぐ理由とは?
クルミなどのナッツ類には、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミン類(E、B1・B6等)、ミネラル、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄など様々な栄養素が含まれており、特に脂質が主成分となっています。この脂質こそ、α-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)やリノール酸(オメガ6系脂肪酸)、オレイン酸(オメガ9系脂肪酸)といった不飽和脂肪酸なのです。
クルミは不飽和脂肪酸の中でも人体で合成できない必須脂肪酸の一つ、α-リノレン酸を多く含むのが特徴で、血管をしなやかにして血行を促進し、動脈硬化を予防してくれます。そして、クルミが豊富に含むもう一つの必須脂肪酸、リノール酸は血中のコレステロール濃度を下げる働きがあります。
体内でつくることができない必須脂肪酸は、食品から摂取しなければなりません。卵やレバー、スジコなどにみられるコレステロールを一切含まず、糖質もアーモンドの半分以下というクルミは、まさに現代人が求めるスーパーフードですね。
体内でつくることができない必須脂肪酸は、食品から摂取しなければなりません。卵やレバー、スジコなどにみられるコレステロールを一切含まず、糖質もアーモンドの半分以下というクルミは、まさに現代人が求めるスーパーフードですね。
🕊ご注意! 適量は1日“ひとつかみ分”
栄養価が高く手軽に食べられるクルミ。加工されたものから殻付きのもの、殻をとった生のもの(生クルミ)などが売られています。日本ではローストしたものが一般的ですが、海外では生クルミも広く親しまれています。
クルミは健康食だから、いっぱい食べれば食べるほどカラダにいいのでは? と考えがちですが、やはり脂肪が主成分のナッツです。カロリーが高めなので、食べ過ぎには注意しましょう。
クルミの1日の適量としては、ひとつかみ分の28gとされています。食塩で味付けしていたり、油を使ったりしていないものを選ぶのもポイント。クルミ本来の香りや甘みを楽しみましょう。
美味しい食べ方としては、クルミを砕いてサラダやパスタに加えたり、トーストやヨーグルトにのせたりして食べるのがおススメ。まさに今、収穫の時期を迎えているクルミ。旬の味を食卓に取り入れて健康的な秋を過ごしましょう。
参考:日本ナッツ協会HP、カリフォルニアくるみ協会HP、『あたらしい栄養事典』(日本文芸社)、(株)日本ウオルナットHP「くるみ博物館」、(株)有馬芳香堂HP「ナッツと豆のまめ知識」、Wikipedia等