記事一覧

今月の健康記念日

h4.jpg

 毎年9月の第3月曜日は「敬老の日」です。
 そして、その前日が「心・血管予防デー」なのをご存知ですか?
 (一社)日本心・血管病予防会が、検診を受けることで血管に由来するさまざまな疾病を予防、発見する意識を多くの人に高めてもらおうと(一社)日本記念日協会に申請し、2013年に認定・登録されました。今年の敬老の日は9月20日。なので、「心・血管予防デー」は19日です。
でもなぜ、この日が心臓や血管の予防と関係しているのでしょう?
 それは、同法人が高齢者を主な対象として、心・血管予防の活動に取り組んできたからです。
加齢とともに老化する血管。その変化は動脈硬化などを引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症、心肥大、心不全などの原因になります。今回は動脈硬化を引き起こす原因や症状、それが心臓に与える影響、動脈硬化の予防方法などを学びましょう。
 
 
 
🕊人は血管とともに老いる!?
 
「人は血管とともに老いる」
これは医学教育の基礎を築いたカナダの医学者ウイリアム・オスラー博士(1849~1919年)の言葉です。
私たちのカラダには、心臓から血液を送り出す動脈と、血液を心臓に戻す静脈、そして細胞と血管の仲介をするリンパ管が張り巡らされています。そして、これらの管の中を流れる血液やリンパ液は、カラダを作る細胞の一つひとつに酸素と栄養を与え、老廃物を排出しています。
ところが血管は常に血圧の刺激を受けていて、年齢を重ねるごとに弾力が低下したり、コレステロールが血管内に付着して狭くなったり、傷ついたりします。その結果、血液の流れが悪くなり、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなってしまいます。
これが「人が血管とともに老いる」といわれる所以で、そのような血管の状態を動脈硬化と呼びます。
g1_2021091418042613a.jpg
 
 
 
🕊動脈硬化が心臓に与える影響とは
 
私たちの血管は全身を巡っているため、動脈硬化はカラダのあらゆる箇所に生じ、さまざまな健康障害を引き起こす可能性があります。特に頸部(けいぶ)心臓大動脈などで動脈硬化が起こりやすく、頸部だと脳への血流を阻害する脳梗塞、大動脈だと解離性大動脈瘤など、命の危険に関わる重篤な病気を発症する原因になります。
心臓は冠状動脈(かんじょうどうみゃく)から血液が送られてきますが、この冠状動脈も動脈硬化が起こりやすい部位です。冠状動脈に硬化が生じると、心臓の筋肉(心筋)に十分な血液が行き渡らなくなり、その結果、心筋が酸素不足になって圧迫感や胸の痛みを起こす「狭心症」、血液の流れが滞って心筋細胞が壊死する「心筋梗塞」が発症します。
ほかにも、血管の詰まりで心筋に負担がかかり肥大する「心肥大」、心臓が慢性疲労の状態となって正常に機能しなくなる「心不全」の原因にもなります。
g2_20210914180724b4f.jpg 
 
 
🕊心臓・血管を健康に保つ生活習慣の改善ポイント
 
動脈硬化を進める危険因子としては、肥満ストレス高血圧糖尿病脂質異常症(高コレステロール血症)などが挙げられます。
また、偏った食生活喫煙アルコールの過剰摂取運動不足なども動脈硬化の発症リスクを高め、特に喫煙者は非喫煙者と比べて心臓病の死亡リスクが1.5~4倍(日本肺癌学会・日本内科学会の調査)にも跳ね上がることがわかっています。
動脈硬化は老化現象の一つのため、完全に止めることはできませんが、生活習慣の見直しで進行を抑えることができ、それにより血管や心臓の健康を維持できます
(一社)日本動脈硬化学会が刊行する『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』では、下のような生活習慣の改善を掲載しています。 g4_20210914180727889.jpg
なお、「心・血管予防デー」を制定した日本心・血管病予防会では、「自己流の努力だけではマイナスの状態を引き起こすことがある」(例:①健康のためにジョギングを始めたら、腰や膝を痛めてしまった/②体重を減らすためにカロリーコントロールをしていたら栄養失調になった…等々)として、定期的な心・血管検診を呼び掛けています
高齢社会の進展に伴い、近年、加齢や運動不足、過食などを原因とする心疾患、血管疾患を患う人が急増してきました。心臓・血管といった循環器の健康状態が悪いと、認知症の発症リスクも高まってしまいます。自己流にこだわらず、年に1回は検診を受けて自分の健康状態を客観的に把握し、専門医による的確かつ継続的なアドバイス・サポートを受けるなど、柔軟な姿勢で心臓や血管の健康を守りましょう。
g4-1_20210914181340118.jpg
 
 
参考:日本心・血管病予防会HP、厚生労働省「e-ヘルスネット」、『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』(日本動脈硬化学会刊)日本肺癌学会HP、日本内科学会HP、名古屋ハートセンターHP、Wikipedia等 



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

Presented by

スポンサーリンク