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今月の健康記念日

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 今年の「土用の丑の日(どようのうしのひ)」は7
28日(水)です。この日にうなぎを食べてスタミナをつけ、猛暑を乗り切ろうという習慣が私たち日本人に根付いています。
でも、「土用の丑の日」は夏以外にも、春や秋にも、冬にもあります。なのになぜ、夏のイメージが強いのでしょう? それになぜ、うなぎが食べられるようになったのでしょう?
今回は知っているようで知らない「土用の丑の日」の意味や、夏バテ防止にうなぎを食べるようになった由来、うなぎ以外の土用の食べ物、そしてうなぎの効能などをご紹介します。
 
 
 
🕊そもそも「土用の丑の日」ってなに?
 
「土用の丑の日」は読んで字の通り、「土用」「丑の日」という日にちを合わせたものです。
「土用」は立春・立夏・立秋・立冬の直前、つまり季節の変わり目の約18日間を指します。「この世の万物は木・火・土・金・水の5つの元素からなる」という古代中国の自然哲学「五行思想」に基づく考えで、「木」を春、「火」を夏、「金」を秋、「水」を冬の象徴としています。
しかし、四季を割り当てているため、5元素のうち「土」だけが残ってしまいますね。そこで「土」を季節の変わり目の象徴として4分割し、春夏秋冬の間に割り振ったのです。ちなみに「土」は、植物の芽が地中から発芽する様子を意味し、「運気が変化する時期」と考えられています。
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一方、「丑の日」は干支の「丑」の日のこと。かつて年のほか、日にちも「子」から「亥」の十二支で数えられていました。土用の期間は約18日間あるので、十二支を当てはめると2巡する干支が出てくることがおわかりでしょう。このことから「丑」が2回登場する年もあり、その場合、1回目を「一の丑(いちのうし)、2回目を「二の丑(にのうし)と呼びます。
なお、夏の土用は例年7月19日~8月6日辺りになり、「二の丑」が発生する確率はだいたい60%くらいになるそうです。今年は7月28日の1回のみ。2025年までの夏の「土用の丑の日」は下の通りです。
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以上のように「土用」は年に4回ありますが、夏の土用は梅雨明けや大暑と重なって体調を崩しやすいため、健康面で特に重要視されました。
また、「丑の日」も「丑」の字が「紐(ちゅう:「ひも」「からむ」の意味)」と同義語で、「芽が種子の中に生じて、まだ伸びることができない状態」を意味することから特別な日と考えられ、こちらも体調を崩しやすい梅雨明け後の丑の日を重要な日と捉えられていたのです。
こうしたことが、「土用の丑の日=夏」というイメージにつながったのでしょう。
 
 
 
🕊土用の丑の日の食べ物は「うなぎ」だけじゃない?!
 
夏の土用の丑の日にうなぎを食べるようなった由来は諸説ありますが、やはり幕末の万能学者・平賀源内が発案したという話が有名でしょう。源内が知り合いのうなぎ屋に、夏場に売れないうなぎを何とか売りたいと相談され、『本日土用丑の日』と書いて店先に貼るよう勧めたところ、そのうなぎ屋が大繁盛したというもの。その後、他のうなぎ屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が定着したという内容です。
この説は出典が不明なため、史実かどうかはわかりませんが、文政5年(1822~23年)当時の世相を集めた『明和誌』(青山白峰著)には、「土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が安永・天明の頃(1772~88年)に定着した」という記録が確認されています。源内が生きた時代は1728~80年なので、時期的には符合しますね。
もっとも、暑い夏にうなぎを食べる風習は古代まで遡り、万葉集にも「(うなぎは)夏痩せによし」と詠んだ歌が残されています。
また、「夏の土用の丑の日に『う』がつくものを食べると夏負けしない」という言い伝えが昔からあり、うなぎ以外に梅干しうどんうさぎ馬肉(うま)牛肉(うし)などが食べられました。
このほかにも土用の行事食として、土用餅(食べると夏バテせず、無病息災で過ごせる「あんころ餅」)土用しじみ(夏の土用のものは栄養価が高く、肝臓に良い。「土用しじみは腹の薬」とも呼ばれる)土用卵(土用に産み落とされた卵のこと。うなぎ同様に精がつく)などがあります。 g3-1_20210727110500b36.jpg
 
 
🕊実は黄金メニュー?! うな重としじみの味噌汁
 
「土用の丑の日」の食べ物にさまざまあれど、やっぱり代表格はなんといっても「うなぎ」。栄養価の高いうなぎは昔から、「疲労回復にいい」「目にいい」「美肌効果がある」などと珍重されてきました。
うなぎの主な効能は下の通りです。
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なお、お店でうな重を注文したら、ほとんどの場合「しじみの味噌汁」が付いてきますね。参考までにしじみの効能にも触れると——。
しじみには肝臓の働きを助けるオルニチン、疲労を回復させるタウリン、造血作用のあるビタミンB12、細胞の新陳代謝を活発化する亜鉛などの栄養素が含まれています。
しじみの旬は夏と冬の年2回あり、夏の旬を前述の「土用しじみ」と呼びます。ちょうどその頃は、盛夏の産卵期を控えて身がぷりぷりに太っていて美味しく、栄養がとても高いのだとか。
美味しいうな重と栄養たっぷりのしじみの味噌汁は、この時期ならではの黄金メニュー。ちょっとした贅沢を味わって、今夏も猛暑やコロナに負けない体力を養いましょう!
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参考:鰻 若松HP、浜名湖 山吹HP、うなぎの兼光HP、食と健康の情報サイト「食育大辞典」、じゃらんニュース、ヨム―ノ、Wikipedia等
画像・イラスト:写真AC、かわいいフリー素材集いらすとや

 

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