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今月の健康記念日

 禁煙デー(21年5月)

 5月31日は「世界禁煙デー」です。たばこを吸わない習慣を広く社会に浸透させようと、世界保健機関(WHO)が1988(昭和63)年に制定した国際デーです。
日本では1992(平成4)年より、5月31日から6月6日までの1週間を「禁煙週間」に定め、厚生労働省等が毎年テーマを決めてたばこと健康の問題について啓発活動を行っています。
ちなみに2021年のテーマは、「たばこの健康影響を知ろう!~新型コロナウイルス感染症とたばこの関係~」。
今回はたばこのうんちくと健康に及ぼす被害、禁煙方法のコツなどを紹介しましょう。
 
 
 
🕊たばこを吸う習慣はいつから生まれた?
 
たばこを吸う習慣は、アメリカ大陸で生まれたものと考えられています。7世紀の古代マヤ文明の人たちが吸ったのが最初だそうです。アメリカの古代文明では神への供物として、たばこは儀式に欠かせないものでした。呪術的な治療にも利用されていましたが、やがて、そのたばこが嗜好品として人々に楽しまれるようになります。
15世紀の末にアメリカ大陸が発見されたとき、インディアンが吸っていたたばこをコロンブスたちがヨーロッパに持ち帰り、急速に広まりました。日本には16世紀半ば頃、ポルトガル人が鉄砲とともにたばこを持ち込み、江戸時代に喫煙習慣が広まったそうです。
そして明治以降、殖産興業や富国強兵を推し進める政府がたばこの習慣性・常習性に注目し、その製造・販売を「国営」にして税を徴収する手段としました。このように国が歳入を目的に喫煙を奨励したことで、国民の喫煙はごく当たり前の慣習として根づき、昭和40年頃には日本人男性の喫煙率が実に80%超に上る深刻な事態になりました。
禁煙が奨励されている現在でも、日本人のたばこを原因とする死亡は全体の10%を占めるなど依然と高く(厚生労働省調査、※世界14%:WHO調査)、国内医療を圧迫しています。 gazou1-1.jpg
  
🕊たばこの煙はどれほど恐ろしいの?
 
たばこの煙には、4000種類の化学物質が含まれ、その中にニコチンや一酸化炭素をはじめ、200種類以上の有害物質、50種類以上の発がん物質が含まれているといわれています。
なかでもニコチンは、「毒物及び劇物取締法」の対象となっている毒物で、その作用は中枢神経の興奮と抑制、また心臓・血管系に対しては急激な悪影響をもたらします。
一酸化炭素は血液中の赤血球のヘモグロビンと強力に結びついて「一酸化炭素ヘモグロビン」を形成し、血液の酸素運搬機能を妨げることで、頭痛、めまい、嘔吐などの中毒症状を引き起こします。
たばこは肺がんをはじめとして、喉頭がん、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、膵がんなど、多くのがんの危険因子になるのはご存知の通り。ほかにも、呼吸器系に対しては慢性気管支炎や肺気腫等の慢性閉塞性肺疾患、循環器系に対しては心筋梗塞や狭心症等の虚血性心疾患、大動脈瘤、脳血栓などの危険がそれぞれ増大します。なかでも虚血性心疾患は、高血圧症や高脂血症が加わると、危険性がさらに高まります。
また妊婦の方の喫煙も、低出生体重児、流産、早産など胎児の健康にも影響を与える危険性があります。
さらに、たばこの煙は周囲の人に有害な影響を与え、「受動喫煙」も大きな社会問題になっています。喫煙者が吸い込む煙を“主流煙”、たばこから出る煙を“副流煙”といいますが、前者よりも後者の方が有害物質を多く含んでいます。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、「公共施設での受動喫煙防止対策の強化」を明記した改正健康増進法が昨年4月に全面施行されました。依然収束しない新型コロナに関しても、喫煙者は非喫煙者より重症になる可能性が高いとされています。喫煙者の方、この機会に禁煙にチャレンジしてみては? gazou2-2.jpg
  
🕊上手に禁煙するためのコツは?
 
禁煙に挑戦しても、なかなか長続きがしないという方は多いのではないでしょうか? それはたぶん、上手な喫煙の仕方をご存じないからかもしれません。そこで、禁煙を成功させるコツをいくつか紹介しましょう。
 
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以上、禁煙のコツをいくつか挙げてみました。これらを実践してもたばこが我慢できない場合は、薬局でニコチンパッチやニコチンガムを購入するなど薬を利用したり、医療機関で禁煙治療を受けたりするのも一つの手です。無理せず自分に合った方法を探したり選んだり、工夫したりして、禁煙に挑戦してみましょう。
なお、最近は「加熱式たばこなら大丈夫」という風潮もありますが、加熱式たばこの主流煙にもニコチンは含まれています。なので、一概に大丈夫とはいえないでしょう。やはり、たばこによる健康被害を防ぐには、禁煙が一番のようです。
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参考:厚生労働省HP、日本医師会HP、日本禁煙学会HP、Wikipedia等
 

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