グラウンド・ゴルフの魅力を探る3回シリーズ──。第1回目は歴史と特徴に触れ、第2回目は用具や基礎的な技能、コース設定の方法を説明しました。 そして、いよいよ迎えた最終回では、グラウンド・ゴルフをプレーするうえで欠かせないエチケットやルールについて解説します。 みんなで気持ちよくグラウンド・ゴルフを楽しむには、エチケットをしっかり守ることがなによりも大切。ルールも十分理解して、礼儀正しく、快適にプレーしましょう! なお、本特集は大阪体育大学の細川磐名誉教授のご協力を得て、『細川磐のグラウンド・ゴルフ読本』(オフィスなかおか刊、A5判:文庫)をもとに解説していきます。
グラウンド・ゴルフは、「エチケット」をとても大切にするスポーツです。日本グラウンド・ゴルフ協会(以下、日本協会)が定める公式ルールでも、まず第1章に「エチケット」が記載されているほどです。具体的には次の3カ条になります。
◎ 第1章 エチケット
第1条 プレーヤーは、自分のプレーが終わったら、すみやかに次のプレーヤーの妨げにならない場所に行く。
第2条 プレーヤーは、同伴のプレーヤーが打つときには、話したり、ボールやホールポストの近くやうしろに立たない。また、自分たちの前を行く組が終了するまで、ボールを打たない。
第3条 プレーヤーは、自分の作った穴や足あとを直して行く。
◆グラウンド・ゴルフのルールを把握しよう
日本協会では、第2章に「ゲームに関するルール」として、第4条〜第16条にわたり公式ルールを記載しています。注目されるのは、プレーヤーがお互いに気持ちよく、グラウンド・ゴルフを楽しめることを第一にルールを定めている点です。さっそく、各条項をみていきましょう。
◎ 第2章 ゲームに関するルール
第4条 ゲーム…ゲームは、所定のボールを決められた打順にしたがってスタートマットから打ち始め、ホールポスト内に静止した状態「トマリ」までの打数を数えるものである。
☞ 補足:一人のプレーヤーが「トマリ」まで連続して打つことはできません。
第5条 用具…クラブ、ボール、ホールポスト、スタートマットは定められたものを使用しなければならない。
第6条 ゲーム中の打球練習…プレーヤーは、ゲーム中いかなる打球練習も行ってはならない。本条の反則は1打付加する。
第7条 援助…プレーヤーは、打つとき足場を板などで作ったり、人に支えてもらったりするなど、物的・人的な援助やアドバイス、あるいは風雨からの防護を求めたり、受けたりしてプレーしてはならない。本条の反則は1打付加する。
第8条 ボールはあるがままの状態でプレー…プレーヤーは、打ったボールが長い草や木のしげみなどの中に入ったとき、ボールの所在と自己のボールであることを確かめる限度においてのみ、これらのものにふれることができる。草を刈ったり、木の枝を折ったりしてプレーしてはならない。本条の反則は1打付加する。
第9条 ボールの打ち方…プレーヤーは、ボールを打つときはクラブのヘッドで正しく打ち、押し出したりかき寄せたりしない。本条の反則は1打付加する。
ただし、から振りの場合は打数に数えない。
第10条 紛失ボールとアウトボール…プレーヤーは、打ったボールが紛失したり、コース外に出たときは1打付加し、ホールポストに近寄らないで、プレー可能な箇所にボールを置き、次の打を行わなければならない
第11条 プレーの妨げになるボール…プレーヤーは、プレーの妨げになるボールを、一時的に取り除くことを要求することができる。取り除くのは、ボールの持ち主であり、その際ホールポストに対して、ボールの後方にマークをして取り除かなければならない。
第12条 他のプレーヤーのボールに当ったとき…プレーヤーは、打ったボールが他のプレーヤーのボールに当たったときは、そのままボールの止まった位置からプレーを続ける。当てられたプレーヤーはもとの位置にボールをもどさなければならない。
第13条 止まったボールが風によって動いたとき…プレーヤーは、打ったボールが動いている間は、ボールを打ってはならない。風によってボールが動いたときは、静止した場所からプレーをし、動いてホールポストに入った場合はトマリとする。
第14条 第1打がホールポストに入ったとき…プレーヤーは、打ったボールが1打目でトマリになったとき(ホールインワン)は、合計打数から1回につき3打差し引いて計算する。
第15条 ゲーム中の判定…ゲーム中の判定はプレーヤー自身が行う。ただし、判定が困難な場合は同伴プレーヤーの同意を求める。
第16条 標準コース…標準コースは、50m、30m、25m、15m各2ホールの合計8ホールで構成する。
◆さあ、ゲームをはじめよう!
用具をそろえ、エチケットやルールを理解し、コースも設定したら、さっそくゲームを楽しみしましょう!
グラウンド・ゴルフの打順については、最初に決めた順番ですべてのホールポストをまわる固定方式と、ホールポストが進むのに合わせて打順をまわしていくローテーション方式の2通りあります。
固定方式は打順の間違いを少なくすることができ、初心者が多いときのゲームに適しています。
ローテーション方式はメンバーの打順が公平になる利点があり、公式大会などで標準になりつつあります。
ゲーム開始前にどの方式でコースをまわるのか、あらかじめ決めておきましょう。
なお、今回「エチケット」や「ルール」について説明したので、すでに十分おわかりでしょうが、グラウンド・ゴルフは勝ち負けよりも、コミュニケーションを大切にするスポーツです。
ゲームを一緒に楽しむ仲間への気づかいや配慮を忘れずに、お互い尊重し合って楽しみましょう!
◆社会貢献も積極的な“グラウンド・ゴルフの文化”にも注目!
グラウンド・ゴルフの歴史や特徴から、用具、基礎技能、コース設定、エチケット・ルールまで、基本知識を解説してきた本特集、いかがでしたか?
集まった人たちの人数や技能、目的、環境などに応じて、アレンジしながら楽しめるグラウンド・ゴルフの柔軟性なんかは、親しみやすさを感じたのでは?
多様な生活行動や多彩な趣味、豊富なスポーツ経験を持つニュー・エルダーに、ある意味、ぴったりの生涯スポーツかもしれませんね。
ほかにもグラウンド・ゴルフの魅力として、愛好者がゲームを通じて社会貢献を積極的に行う“文化”が注目されます。例えばグラウンド・ゴルフには、ホールインワンを達成した愛好者が100円ほどを寄付する「ホールインワン基金」があり、各都道府県協会で集められた寄付金は車いすの寄贈や災害見舞金として活用されているそうです。
また、愛好者による地域の子どもたちへの指導も熱心に行われており、身体への負担の少ないグラウンド・ゴルフは特別養護学校などで非常に人気だとか。
グラウンド・ゴルフはゲーム自体の楽しさもさることながら、健康づくり、地域社会への貢献、世代を越えたふれあいなど、さまざまな喜びや充実感を与えてくれそうですね。
次回は、誰もが遊んだことのある昔ながらの玩具「吹き戻し」を口腔ケア用品として開発し、医療・介護現場への導入を進めている(株)ルピナスさんの取り組みをレポートします。