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エルスポ~アジャタ玉入れ

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 運動会でお馴染みの「玉入れ」。その定番種目がスピード感あふれる競技スポーツにアレンジされ、日本各地で楽しまれているのをご存知ですか? その名はスポーツ玉入れアジャタ
全日本玉入れ協会(ALL Japan Tamaire Associationが玉入れに公式ルールを定め、健康的で楽しく、誰でも気軽に参加できるニュースポーツに進化させました。
ゲームのやり方やルールは簡単。4~6人でチームを組み、高さ約4メートル、直径44センチのバスケットに計100個の玉をすべて入れるまでのタイムを競います。
子どもからシニアまで夢中になり、熱戦が繰り広げられるアジャタ。障がい者向け種目もさまざまに考案され、盛り上がりをみせる“ニュー玉入れ”を紹介します。
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 1. ニュー玉入れアジャタとは?

 
玉入れで本格的な町おこしを!
北海道上川郡の和寒町で考案されたスポーツ玉入れ“アジャタ”。その誕生は、1990年8月に開催された同町「ふれあいまつり」に遡ります。同イベントで「全日本玉入れ選手権」が実施され、会場の屋外グラウンドを大いに沸かせました。
そうした反響を受け、玉入れを本格的に“町おこし”として発信するべく1995年4月に「全日本玉入れ協会」(ALL Japan Tamaire Association:以下AJTA本部、袰田道悟会長)が会員50人で発足。玉入れに正式な競技規則と用具の規格を制定し、競技名も「ALL Japan Tamaire」の頭文字をとって“アジャタ”と呼ぶことにしました。
そして翌96年11月、AJTA本部主催による第1回全日本玉入れ選手権を開催、選手・関係者など約2000人が集まりました。その後も新聞・テレビなどで度々アジャタが紹介され、2000年には(財)地域活性化センターの「第4回ふるさとイベント大賞」を受賞。以降も着々と知名度を上げ、アジャタは全国各地に広まっていくことになります。 
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    ▲写真左:90年8月の和寒町「ふれあいまつり」にて。右:96年11月の第1回全日本選手権大会の様子。
 
国内の競技人口、集計すると「相当になりそう」?!
地域活性化を促す“町おこし”の役割とともに、極寒地・和寒町に暮らす住民の体力維持にも貢献しているアジャタ玉入れ。その普及にあたりAJTA本部は、『明治以来、日本独自の運動会の定番である玉入れを、その単純明快な潜在能力に着眼し、スポーツ玉入れとして昇華、全国にその普及発展を目指す』を理念に活動しています。
現在AJTA本部の傘下組織は下の通り。九州協会、関西協会、新潟協会などを擁し、九州協会には佐賀支部や熊本支部、関西協会には洲本支部があります。全体の会員数や男女比、年齢層は集計していないため不明とのことです。
非会員も含む国内の競技人口も把握していませんが、近年はパナソニック、デンソー、トヨタ、京セラ、関西電力など、関西の大手企業がアジャタに取り組んでおり、実際に集計したら「相当な競技人口になりそう」とAJTA本部の袰田道悟会長は語ります。
ちなみに海外への普及活動は、これからのようです。
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<協会一覧>
北海道:AJTA本部協会(1995年4月設立、北海道上川郡和寒町)
 同 :AJTA北海道協会(2002年8月設立、北海道札幌市)
 同 :AJTAオホーツク協会(2002年6月公認、北海道常呂郡訓子府町)
東京都:AJTA東京協会(2012年5月設立、東京都府中市)
大阪府:AJTA関西協会(1999年11月設立、大阪府貝塚市)
宮崎県:AJTA九州協会(1999年2月設立、宮崎県東臼杵郡諸塚村)

 
メンタル面の要素が多く、チームワークが必要な競技
AJTA本部では毎年9月の第一日曜日、全日本玉入れ選手権を和寒町総合体育館で開催しています。大会の特色は50万円の賞金(賞金総額100万円)を設けていることと、カテゴリーが一般部門、レディース部門、障がい者(車いす)部門、ジュニア部門と多彩な点です。
例年道内の約80チームが参加するほか、東北、関東、関西、九州など、全国各地から多くの選手が駆けつけ、大会を盛り上げるそうです。
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今回取材に協力してくれた東京協会(杉村康之会長)は、府中市総合型f-エフ-スポーツクラブ(府中市認定地域スポーツクラブ)※1の髙橋弘藏会長が同協会の副会長も兼任し、毎年6月に「府中市スポーツレクリエーションフェスティバル」で玉入れ競技、11月に「fカップ玉入れ選手権」をそれぞれ開催しています。
老若男女問わず楽しめるアジャタ。学校の玉入れと違うのは、決められた球数(100個)をいかに早く入れるかを競い合う点です。タイムトライアルなだけに、「アジャタはメンタル面の要素の多い、チームワークが必要な競技」と橋さん。さっそく、アジャタの用具や競技方法など概要をみていきましょう。
 
1 【府中市のf-エフ-スポーツクラブとは?】
府中市の地域住民が主体となり、企画・運営するクラブ。老若男女問わず、あらゆる世代が集う。楽しく気軽に長く続けられる生涯スポーツをはじめ、専門的技術指導を必要とするプロスポーツの分野まで大切にしている。会員は文化活動やレクリエーション活動、スポーツ活動など、多種目に参加できる。各種教室、講習会、研修会、スポーツ大会など、会員が自主的にセレクトし、活動できるクラブを目指している。 
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    ▲東京協会の練習風景。
 

  

 2.アジャタの用具やルール&テクニック

 
アジャタは、4〜6人の選手が合計100個のボールをバスケットに入れるまでの時間を競うタイムトライアルです。ゲームに必要な用具やコート、ルールなどを解説していきましょう。
 
発祥地・和寒町に因む用具の寸法
アジャタの用具はバスケットボールの2つ。ちなみにAJTAではバスケットのことを「アジャタバスケット」、ボールのことを「アジャタボール」と呼んでいます。
「アジャタバスケット」一般用(高校生以上)ジュニア用(小学46年生)ミニ用(小学13年生)の3種類あり、高さは一般用が4メートル12センチジュニア用が3メートル50センチミニ用が2メートル80センチです。ちなみに一般用の高さは、AJTAが拠点を置く和寒町で記録された最低気温氷点下41.2に由来します。
カゴの直径と深さについては、一般用、ジュニア用、ミニ用のいずれも44センチ。これも和寒町の緯度、北緯44度に基づくそうです。
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「アジャタボール」は重さ約80グラムの「アジャタボール」99と、同約250グラムの「アンカーボール」の計100あります。アジャタは、この100個のボールをすべてアジャタバスケットに入れるまでのタイムを競います。ちなみにボールの外皮は布製で、中身は樹脂粒子が詰まっているそうです。
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 ◎
直径6メートルのサークルで競技
コートはアジャタバスケットを中心とした直径6メートルの円で、「アジャタサークル」と呼びます。選手たちはこのアジャタサークルの中で競技します。
なお、アジャタサークル間は選手の安全性とアジャヤタボールの混在を考慮して、「2メートル以上開けることが望ましい」とAJTA本部では定義しています。 
ajta05コート
 
参加選手は男女問わず46
アジャタに参加する選手の人数は、男女問わず46。登録選手数は監督を含んで8人以内です。
年齢は一般競技が高校生以上ジュニア競技が小学46年生ミニ競技が小学13年生で括っています。
なおAJTA本部ではチーム編成について、「一般成人とジュニア、ミニは混在しない」と定めており、高校生のみのチーム編成も認めていません。ただし、高校生主体のチームに成人1人以上が参加する場合は認められます
 
アジャタの基本的なルール&テクニック
<スタート準備>
 ①アジャタボールをサークル内に配置し、選手は全員アジャタサークルの外で後ろ向きになってスタンバイします。
 なお、ボールは自由な形に積むことができます。事前の玉積みは試合結果を左右するので、各チームとも投げやすい積み方、投げやすい個数など、それぞれ工夫しているそうです。
 
【玉の積み方】
米俵の積み方から考案した「俵積み」が基本。5〜11個まとめて投げることができる(個人差あり)。積み方は、2個ずつ交互に積み重ねていく二本配、同3個ずつの三本配などがある。 
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    ▲左が二本配、右が三本配。
 
②サークル外で後ろ向きに立ってスタートを持つ際、サークルの線を踏んではいけません。また、全チームが足を平行にして立つ状態にならないとスタートしないので注意しましょう。
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    ▲写真左:サークルは踏まない。右:後ろ向きでスタートの合図を待つ。
 
③競技スタートの合図(号砲)前にサークル内に入るとフライングになり、再スタートとなります。なお、フライングを2回行ったチームは失格となります。
 
<競技スタート!>
 ①スタートの合図(号砲)により、いっせいに競技を開始します。
 ②投球方法は基本的に自由、フォーメーションも各チームがそれぞれ工夫しています。
 
【投球方法】
拝み投げ:もっともコントロールよく投げられる方法としてAJTA本部では推奨。できるだけバスケットの近くに立ち、俵積みしたボールが崩れないように投げる。押し出すよう垂直に投げるのがコツ。
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下手投げ:力のない女性向きの投球方法。俵積みしたボールをすくうように持ち、腰のあたりから持ち上げる感じで投げる。

片手投げ:2個ずつ交互に積んだボールを片手に乗せ、ジャンプしながら、肩のあたりから押し出すように投げる。

 
【フォーメーション】
全員投球:全員で投球し、それぞれが落ちたボールを集めて投げるフォーメーション。全員が同じ程度の投球技術を持っている場合に適している。
パート分け:1投目を全員で投げた後、投げるパートとボールを集めるパートに分かれる。メンバーの投球技術に格差がある場合に適している。

 
 <フィニッシュ!>
①アンカーボールがアジャタバスケット内に着底した時点で競技は終了。そのタイムを競います。
②ただし、アンカーボールはアジャタボール99個をすべて入れた後でないと投球できません。
 
【アンカーボールの追記ルール】
99個の投球が終わったが、バスケットの上縁や回転機構のアーム部分にアジャタボールが引っかかっている場合:アジャタボールは99個入っているとみなされ、アンカーボールを投げることができる。
アンカーボール投球前に、縁などに掛かっていたアジャタボールが落ちたら?:アジャタボールを先に入れてから、アンカーボールを投球する。なお、アンカーボールが入った後に、掛かっていたアジャタボールが落ちても競技は成立する。
アンカーボールを投球したが入らず、掛かっていたアジャタボールも落ちてしまった場合:アジャタボールは入ったものとみなされているので、落ちても入れる必要なし。アンカーボールを入れよう。
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    ▲写真左:ボールが上縁に日掛かっている状態。右:ボールがアーム部分に日掛かっている状態。

 
<失格事項>
①100個のボールが全部入っていないと失格
②アンカーボールを最後に入れないと失格
③選手以外の人がアジャタボールに触れると失格
④棒等の使用や肩車等による投球は失格
⑤フライングは2回で失格

 
以上がアジャタに必要な用具やコート、ルールなどです。
このほか競技中にボールが破損した場合は、観察員がすぐ補充するので、選手たちは中断せず続けることができます。
また、セーフ・アウトは観察員のコールにより審判長が判断します。万一トラブルが生じた場合は審判長の判断に従い、抗議等はチームの監督のみが速やかに申し出ることになっています。
なお、AJTA本部が定める競技規則では、「ルールとして明記されていないことであっても、あくまでも明るく紳士的な態度でプレーに臨むこと」が特に重要事項として定められています。

 【アジャタのスタンバイ、プレイ、フィニッシュ】
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 3.たかが玉入れ、されど玉入れ、今後の展開に注目!

 
障がい者も健常者と一緒に楽しめるアジャタ
近年はパラリンピックが注目を集めるなど、障がいを抱えている人もスポーツを楽しむのが当たり前となってきました。アジャタにも障がい者が健常者と一緒にできる競技種目として、「シッティングAJTA「ウィルチェアー(車いす)AJTAがあります。
「シッティングAJTAは、10年ほど前にAJTA関西協会が考案しました。「シッティング」という言葉の通り座って行うアジャタで、選手は競技中お尻を床から離れないように移動し、投球しなければなりません。ただし、持ったボールを上げるには、どうしても上体を伸ばさなければならないため、瞬間的な離床は認められています。
このほか通常のアジャタと違う点は、①コートの直径が3メートルの円であること、②アジャタバスケットの高さを一般は2メートル50センチ、ジュニアは2メートル10センチにする――などが挙げられます。
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「ウィルチェアーAJTAは、車いすで行う玉入れです。アジャタを障がい者のための新たなスポーツとして全国に普及すべく、昨春、AJTA本部が考案しました。今、特に力を入れている競技種目です。
競技コートは下の通り。直径5メートルの「投球及びスタートライン」のほか、同2メートルの「玉手渡しライン」を設けているのが特徴です。車いすに乗ったままでは、玉を拾うのが難しいためです。 
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基本ルールは、車いすに乗った3~4人の選手が高さ1.13メートルのバスケットに50個(49個+アンカーボール)の玉を入れるまでのタイムを競います。
出場選手は1チームにつき、車いす(投球者)34人、アシスト(玉拾い、基本的に健常者)12障がいの有無は問わないので、健常者が車いすで参加することも可能です。アシストは玉手渡しライン内で玉を拾い、車いすの選手に渡します。それを受け取った選手は投球及びスタートラインに戻り、投球することになります。
スタート時は玉を持たず後ろ向きで待機しますが、反転が困難な場合は前向きでもOKです。
フィニッシュはアンカーボールが入った時点で、先にアンカーボールを入れると失格になります。
なお、ウィルチェアーAJTAで定めるペナルティは下の通りです。
 
      投球者は投げるだけで、自ら玉を拾うと10秒加算。
      アシストは必ず手渡しで投球者に玉を渡す。投げ渡しは10秒加算。
      アシストの玉手渡しライン以外での手渡しは10秒加算。
      投球者間の玉の受け渡しは10秒加算。
      極端なラインオーバーは1回につき10秒加算。

 
 【ウィルチェアーAJTA 競技の進め方】ajta14.jpg
 
パラリンピック採用の期待も高まるウィルチェアーAJTA
昨年9月2日、和寒町で全日本選手権が開催され、ウィルチェアーAJTAが数チームによるデモンストレーション形式で初披露されました。そして今年度から正式種目となり、9月1日に行われた全日本選手権には10チームが出場し、熱戦を繰り広げました。
大会後、「競技性があっておもしろい」「障がいに関係なく、みんなが玉入れを楽しめるようになった」「アジャタがもっと全国に広がってほしい」など、さまざま声がAJTA本部に届いているとか。袰田会長はウィルチェアーAJTAについて、「将来的にパラリンピックの競技種目に採用されれば」と、その可能性に大きな期待を寄せています。
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国際的な発展へ! 夢膨らむアジャタ
アジャタの知名度向上と普及拡大を追い風に、組織の法人化(NPO)も計画するAJTA本部。小さな町の一任意団体であるがゆえ、組織面におけるマンパワー不足、慢性的な財源難などで普及活動が制約される課題もありますが、袰田会長はアジャタの魅力を粘り強く発信していくと力を込めます。
「アジャタの魅力は、その単純明快さ。そして、日本人なら誰でも経験があり、老若男女参加できること。バスケットの高さや玉数を変えるなど、さまざまなバリエーションでイベント競技にうってつけですので、そうした点も含めてどんどんPRしていきたいですね」
今後の展開については、「できれば全都道府県に協会が設立され、それぞれ予選を行い、代表チームが年1回玉入れの聖地・和寒町に集合し、文字通り『全日本玉入れ選手権』を盛大に開催したい」と袰田会長。「そんなことを夢想しています(笑)」と、ちょっと照れた感じで付け加えましたが、決して夢物語ではないでしょう。
誕生から29年、当時のジュニア世代が強豪チームの一角を占めるようになるなど、着実に若い世代につながっているアジャタ。障がい者向けもさまざまに考案され、その新たな可能性と方向性を見出し、さらに潜在力を発揮しようという関係者の取り組みは活発化してきました。
たかが玉入れ、されど玉入れ――将来、国際的に発展する可能性を秘めるにニュースポーツに今、熱い視線が注がれはじめています。
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     ▲取材に協力してくれた東京協会のみなさん。

 
 
<全日本玉入れ協会(AJTA)>
設立年:1995年7月
会長:袰田道悟(ほろたみちご)
電話:0165-32-2341
 ホームページ:https://ajta.jp/
<コメント:アジャタの指導者の派遣・育成について>
「依頼があったら講習・指導を行います。特に指導者の養成は行っていませんが、大会前日に審判講習を実施しています。講習を受ければ一応、公認審判員です」(袰田会長談)
 
AJTA東京協会>
設立年:2012年5月
代表者:杉村康之
 問合せ先:府中市総合型f-エフ-スポーツクラブ(府中市認定スポーツクラブ)
 ホームページ:http://www.f-sportsclub.com/
 e-Mail:kozosan@ jcom.home.ne.jp
<コメント:今後の抱負>
「東京協会はまだまだ大会が少ないので、スポンサーを探しながら(大会の)機会を増やし、もっともっと盛り上げていきたいです」(橋副会長談)

 
(次回のエルスポは縁日などでお馴染み、輪投げのスポーツ版を紹介!)
 

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