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エルスポ~モルック

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 フィンランド生まれのアウトドアゲーム、Mölkky(モルック)をご存知ですか? 「モルック」と呼ばれる木製の棒を投げて、「スキットル」という木製のピンを倒すゲームです。つまりボーリングのようなもの。交互に投げて点数を競い、相手の得点を邪魔するところは、カーリングやビリヤードにも似ています。
 母国フィンランドでは夏の間、サウナとビールを楽しみながらプレーする気軽なゲームとして親しまれているというモルック。今回はその魅力やルール、プレー方法などを紹介します。

<取材協力:日本モルック協会

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   1.モルックって、どんなスポーツ?


 ◎フィンランドの夏の風物詩・モルック
 モルックはフィンランドのカレリア地方の伝統的なkyykkä(キューッカ)というゲームをもとに、現地福祉会社のTuoterengas社(トゥオテレンガス社)によって1996年に開発されました。モルックはキューッカほど体力を使わないこともあり、老若男女が一緒に楽しめるアウトドアゲームとして普及。フィンランドでは夏になると、親子、友人同士等がコテージの芝の上などでプレーする光景がよくみられるそうです。


 ◎世界で3万人、日本で1000人が愛好!
 現在、モルックの競技人口は世界で約3万人を数え、日本にも約1000人の愛好者がいます。日本で普及を進めるのは「日本モルック協会(JMA)(代表:八ツ賀秀一、スタッフ数:約20人 ※男女比は半々)。法人化はされていませんが、全国に7支部を擁し、毎年5月に東京大会葛飾区お花茶屋)、10月に日本大会(江東区東雲)を開催しています。
 また、「国際モルック協会(IMO)」と連携し、モルックを通じた国際交流にも熱心に取りくんでいます。


 ◎日本チームの強化にも注力するJMA
 毎年8月、モルックの世界大会が開催されています。16回目を数える今年は8月17日・18日の二日間にわたり、フランスのサモエンヌで開催されました。なお、世界大会の主催についてはIMOではなく、その年のホスト国の協会が担っていて、今回はフランス協会が重役を担当。本大会には日本からも4チームが参加しました。

 日本人が初めてモルックの世界大会に参加したのは2010年のこと。JMAの八ツ賀秀一代表が仲間5人で「Wasabi」というチームを組み、フィンランド大会に出場しました。
2008年よりヘルシンキに在住していた同代表は、毎年夏に職場の同僚とモルックを楽しんでいたそうです。同大会の出場時、JMAはまだ発足しておらず、成績は2回戦敗退という結果でした。
 しかし、そのときの教訓や経験を活かして練習を積み、2011年のスロバキア大会で「チームジャパン」として再び出場、総合4位を獲得する大健闘をみせました。このことがきっかけで、自分たちの練習方法に自信を持つとともに、日本代表としての意識も強まり、同年JMAを創設。同時にFIMA初の国際メンバーとして加入しました。
 現在、JMAではモルックの国内普及や国際交流の推進とともに、日本チームの強化にも力を入れています。

 さて、先ごろ開催された世界大会について――。本大会に日本から4チームが出場しましたが、結果はいずれも2回戦敗退となりました。でも、選手たちは各国代表と交流の輪を広げつつ、存分にモルックを楽しんだそうです。日本代表の成績の詳細は下の通りです。

<2019モルック世界大会 日本代表成績>
・世界大会本戦(4人制):14か国176チーム参加。日本代表4チームはすべて2回戦で敗退
・シングルス:最高位27位/243組
・ダブルス:最高位58位/344組
・国別対抗戦:8位/14チーム

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 ★トピック~さらば青春の光、森田哲矢さんもモルックで世界に挑戦!
 世界大会にはお笑いコンビ、さらば青春の光の森田哲矢さんも日本代表として参加しました。森田さんは番組の企画でモルックと出合い、初参加の練習会でいきなり4位に。以来、愛好者としてモルックを楽しんでいるそうです。今回、芸人仲間のタイーク・金井貴史さんやみなみかわさん、一般参加者1名と「キングオブモルック」を結成して世界に挑戦、大会を盛り上げました。
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    ▲森田さんなど、お笑い芸人の参加も話題となった日本代表メンバー。




 2.モルックの道具、ルール、投げ方


 ◎モルックの道具は3つ
 モルックの道具は下の3つ。前述のトゥオテレンガス社が規格を統一し、商標を登録しました。その後、しばらく同社がモルックの道具を製造・販売していましたが、数年前に版権をフィンランド玩具メーカー「Tactic社」(タクティック社)へ譲渡。現在、タクティック社がモルック関連の道具の製造・販売を引き継いでいます。ゲームをする際は、同社製の正規品を使用しましょう。

①モルック……投げる棒のこと。投げ方は「下手投げ」が基本。
②スキットル……モルックで倒す木製のピン。全部で12本あり、1〜12の番号が書かれている。
③モルッカーリ……モルックを投げる位置を示す道具。ライン代わりに使用します(※なくてもOK)


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 ◎意外と奥深いモルックのルール
 ルールを簡単に説明すると、モルックを投げてスキットルを倒し、先に50点ぴったり得点した方が勝ちです。
 ゲームの進め方は、①まずモルックを投げる地点にモルッカーリを置き、そこから3〜4メートル離れたところにスキットルを下図の順番に並べます。なお、JMA主催のゲームでは、モルッカーリとスキットルの距離は3.5メートルを基準にしています。
 モルックを投げるとき、モルッカーリに触れたり、踏み越えるとファウル(0点)になります。
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 ②ゲームは2チーム以上で対戦しますので、まずチーム内で投げる順番を決め、相手チームと先攻・後攻を決め、交互にモルックを投げていきます。このとき、2本以上のスキットルが倒れたら、倒れた本数が得点になります。一本しか倒れなかった場合は、倒れたスキットルに書かれている数字が点数となります。

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 ▲左のようにスキットルが3本倒れたら3点。右の場合は、倒れたスキットルの数字が6なので6点。

 ただし、地面に完全に接地したスキットルだけが倒れたとみなされるため、スキットル同士で重なったり、モルックの上に倒れたものは得点にはなりません。

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 ▲スキットル同士で重なったもの(右端)は得点にならない。

 ③倒されたスキットルは、その地点で再び立てられます。そうすることで、ゲームが進むにつれてスキットルの位置がどんどん広がっていき、倒すのが難しくなります。そこが簡単そうで実は奥深い、モルックの醍醐味! 

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 ▲スキットルは倒れた位置で立てる。そうすることでスキットルの間隔も段々広がり、難易度が上がる。

 
ゲームは、いずれかのチームが50点を先取した時点で終了となります。ちなみに得点はチームごとに計算し、<50点を超えた場合>は50点を超えたチームは25点に戻され、ゲームが継続されます。
 また、3回連続でスキットルを倒せないなど<3回ミスが続いた場合>は、そのチームの得点は0点となり、失格(ゲームに参加できない)になります。
 このように、モルックは老若男女が一緒に楽しめるゲームですが、技術もさることながら、戦略も重要なゲームといえるでしょう。



 ◎モルックの投げ方は多彩!
 モルックの投げ方は、下手投げがルールです。下手投げであれば、モルックの向きは縦でも横でも、足は右が前でも、左が前でも、揃えてもOKです。プレーヤーそれぞれに個性が出るところですが、JMAがお勧めする「基本フォーム」は下の通りです。

★「基本フォーム」(ショートレンジ:3~4メートル、ロングレンジ:7メートル)
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・下手投げ。モルックの重心が安定するように握り、狙いを定めて数回素振りした後、投げます。投げる際は、フォロースルーへの意識も大切。足はそろえる流派と縦に開く流派、屈伸を利用する流派、腕の力だけで投げる流派などがあります。
・軌道はゆるやかな放物線状。
・目標スキットル周辺に障害がなく、確実に得点を狙う場合には最適。


 このほかにも、JMAが世界の強豪と競う中で発見した各種フォームとして、「ラハティ投げ」「裏投げ」「縦投げ」があります。

★「ラハティ投げ」(ショートレンジ:3~4メートル、ロングレンジ:7メートル)
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・重心を落として構え、スキットル手前から転がすイメージで狙い、腕の力を利用して比較的強く投げる。モルック発祥の地、フィンランドのラハティで発見された。
・棒速が速いので、軌道はほぼスキットルに向けて一直線となる。
・相手の邪魔になるよう、スキットルを遠くに飛ばしたいときなどに有効。
・ただし、バウンドによる軌道の予期せぬ変化も起こるため、グラウンドコンディションに大きく左右されることに注意が必要。


★「裏投げ」(ショートレンジ:3~4メートル、ミドルレンジ:5~7メートル)
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・普通の投げ方のフォームに逆手でモルックを握り、軽くバックスピンをかけて投げる。
・軌道は放物線状となる。
・縦に並んだスキットルのうち1本だけ倒したいときに有効。また、着地後の動きが少ないので、スキットルをあまり動かしたくないときにも有効。
・ただし、相当な精度が要求される投法である。



★「縦投げ」(ショートレンジ:3~4メートル)
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・モルックを縦に持って投げる。
・スキットル直前で着地し、余力で目標スキットルを倒すくらいの軌道が理想。
・横に並んだスキットルのうち1本だけ倒したいときに有効。
・ただし、相当な精度が要求される投法である。




 3.認知度向上で盛り上がるモルック


 ◎モルックができる場所は? 対戦人数は?
 モルックを行う場所としては、地面が平らで、幅6メートル以上×長さ10m以上くらいのスペースが理想です。通常、公園やグラウンドなどの芝生や土の上で楽しまれていますが、芝生は長すぎるとモルッカ―リが立たなかったり、堅い地面やコンクリートの上だとモルックが跳ねたり、壊れたりするので注意してください。
 対戦人数は決まりがなく、1対1、1対1対1、2対2、2対2対2、3対3、3対3対3など、自由に組み合わせができます。2対3など、対戦チームと異なる人数でも問題ありません。ちなみに、世界大会は4対4で行っています。


 ◎モルックは先行した方が有利では?
 先に50点をとった方が勝利するモルック。やはり、先に投げた方が有利です。そのため大会では、先攻と後攻を入れ替えて2ゲーム行い、その合計点で勝敗を決することが多いそうです。

例:1回目→Aチーム42点・Bチーム50点(1回目はBチームの勝利
  2回目→Aチーム50点・Bチーム40点(2回目はAチームの勝利
  結  果→Aチーム計92点・Bチーム計90点(ゲームは
Aチームの勝利


 ◎改めてモルックの魅力とは?
 モルックの魅力についてJMAの広報を担当する神戸健志さんに尋ねたところ、下の3点を挙げてくれました。

1.性別・年齢を問わず一緒に楽しめるところ。
2.相手チームと戦略・スキルを合わせて競い合うことで、頭脳的にも身体的にも満足感が得られるところ。
3・ルールがシンプルで、初心者でも入りやすいが、それであって熟練者でも楽しめる奥の深い競技性。

一方、モルックを普及・発展させていく上の課題としては、「雨天時でもプレーできる場所が少ない」とのこと。しかし、ここ数年のマイナースポーツへの関心の高まりもあり、雑誌やテレビ、ラジオなどでモルックが取り上げられるようになり、少しずつ認知度も上がってきているそうです。フィンランド大使館の公式マスコット「フィンたん」にも、ツイッターで呟いてもらったこともあるとか。
 現在、法人化も検討しているJMA。「将来、パラリンピックの競技種目に入る可能性もゼロではないと考えています」と、神戸さんは今後の展開に期待を膨らませています。
 「モルックは、どんな人でも簡単に楽しく遊べるスポーツです。年2 回の大会だけでなく、東京・大阪を中心に毎月練習会を行っていますので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください」(神戸さん)
 シンプルだけど奥深いアウトドアゲーム・モルック。スキットルを立てたり、拾ったりする動作は適度な全身運動になり、モルックを投げるときの集中力も脳活につながります。ぜひJMAに遊び方を教わって、近所の公園や広場で挑戦してみましょう!
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 ▲5月に葛飾区お花茶屋で開催された東京大会の様子。


 <日本モルック協会>
 会 長:八ツ賀 秀一
 e-Mail:jma@molkky.jp
 ホームページ:https://molkky.jp/

(次回エルスポは、米国生まれニュースポーツ「ピックルボール」を紹介!)


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